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パーキンソン病の基礎知識

パーキンソン病(PD)について
脳にある「黒質」と呼ばれる部分の神経細胞が変性する進行性疾患です。
そこで作られる神経伝達物質である「ドパミン」の量が減ることにより、運動症状や精神症状など様々な症状が引き起こされていきます。
なぜ、黒質の神経細胞が変性するのかについてはまだよくわかっていない部分が多く、現在も世界中で研究が進んでいます。
50歳以上で起こることが多い病気ですが、時々は40歳以下で起こる方もあり、若年性パーキンソン病と呼ばれています。

症状
脳内のドパミンが減ることで、筋肉の動きをコントロールすることが難しくなって起こる運動症状が起こります。また、自律神経の乱れやその他の神経伝達物質が不足することで運動症状以外の様々な症状が現れます(これを「非運動症状」と言います。)
パーキンソン病は、運動症状だけでなく様々な非運動症状が起こることで、当事者それぞれに症状や進行度も違います。

運動症状について
⚫︎振戦(ふるえ)
 主に、手や足にふるえが起きます。何もしていない時にふるえることが特徴です。(安静時振戦)
   片側の手、足どちらかから症状が起き、N字型に進行していきます。
(例えば…右手→右足→左手→左足)

⚫︎筋強剛(こわばり)
 筋肉がかたくこわばって、手足の曲げ伸ばしが難しいなどの症状が出ます。他人が手や足、頭部を動かすと抵抗を感じます。(歯車様強剛)

⚫︎動作緩慢(無動・寡動)
 身体の動きが遅くなること。細かい動作がしにくくなったり、歩く時に、はじめの第一歩が踏み出しにくくなる「すくみ」や、表情の変化に乏しくなることがあります(仮面様顔貌)

⚫︎姿勢保持障害
 身体のバランスが悪くなり、転倒しやすくなります。押されたり、ぶつかったりするだけで倒れることがあります。

非運動症状
嗅覚が低下しにおいがわかりにくくなる、便秘や頻尿、発汗、易疲労性(疲れやすいこと)、睡眠障害、興味が薄れたり意欲が低下する(アパシー)、気分が晴れない(うつ)など様々な症状が起きます。もちろん上記すべての症状が起こるわけではありません。

治療法
現在のところ完治する方法、進行を止める方法はわかっていません。
治療法には、薬物療法、リハビリテーション(運動療法)、手術療法があります。
基本は薬物療法で、不足したドパミンを補充します。
薬物療法や手術療法とリハビリテーションを組み合わせるなど、自分の生活スタイルや症状に合った治療法をお医者さんと工夫して、QOLの維持を行います。

参考 難病情報センター(http://nanbyou.or.jp)より一部引用

医療監修 師尾 郁(美浜神経内科 院長)